人種間平等に向けたアクション

人種間の富の格差を埋め、米国における経済的モビリティを引き上げるために、シティではこれまで以上に人の力と組織の力を合わせて対応しています。シティの人種平等に向けたアクションは、有色人種コミュニティが富を築くことを妨げる構造的な障壁に取り組んでいます。このような障壁を取り除くために、大学進学や住宅購入を身近なものにすることから、起業や退職に向けた貯蓄に至るまで、有色人種コミュニティとの活動の仕方を改革しています。

コロナ禍が有色人種のコミュニティに偏った影響をもたらす中、対策を行う必要性が差し迫っています。人種平等に向けたアクションはスタート地点にすぎません。シティは、ここにご紹介することだけに限らず、平等なコロナ禍からの回復に向けた有意義な貢献ができる方法を引き続き模索していきます。


人種間の富の格差から生まれる経済コスト

シティのグローバル・パースペクティブ&ソリューション(シティGPS)が最近発行したレポート「人種間不平等の格差を埋める」(英文のみ)によると、米国において、20年前にアフリカ系米国人の賃金や住宅、教育や投資に関する人種による決定的な格差を埋めていたとすると、米国経済は16兆ドル底上げされていた可能性があります。また、現時点でこの格差を埋めることができると、今後5年間で米国の国内総生産が5兆ドル増えることになります。つまり、有色人種コミュニティを公平に扱えなかったという社会全体の失敗から生み出された経済的な影響は莫大であり、悲惨な犠牲者をも生み出しているのです。


主要事業の力と慈善活動を掛け合わせて

シティの人種平等に向けたアクションは、1) 有色人コミュニティにおける銀行および信用機関へのアクセスの拡充、2) 黒人所有事業への投資拡大、3) アフリカ系米国人の持ち家の拡大、4) 金融サービス業界での反人種差別の商慣行の推進に取り組む総合的なアプローチです。

この目標を達成するために、シティの主要事業とシティ・ファウンデーションは、3年間にわたり、以下の投資活動に取り組みます。


シティ・インパクト・ファンド

2020年初頭に、社会的な課題に対処している米国企業にシティから株式投資ができるように、「ダブル・ボトムライン」のファンドを立ち上げました。このシティ・インパクト・ファンドは銀行が自己資本を使って立ち上げたこの種のファンドとしては最大で、女性と少数派が経営者または所有者である会社に優先的に投資します。投資先の会社は、技術やイノベーションを活用して、5つの重要な社会的な課題として、人材開発、経済的な力、物理的および社会的インフラ、資本の持続可能性と資本へのアクセス、経済機会に取り組んでいます。1月に1億5,000万ドルでファンドを立ち上げたのち、9月には5,000万ドルを追加し、人種平等に向けたアクションの計画の一環として、黒人起業家が所有している事業を優先的に支援しています。

シティは、コミュニティ活動を担当する3チームとして、インクルーシブ・ファイナンス、コミュニティ・リレーションズにならび、シティ・インパクト・ファンドを位置づけています。2020年、シティは新たにコミュニティ投資開発(CID)のチームを立ち上げました。シティの事業や部門横断的に取り組む一元化されたチームで、世界中のコミュニティにおける前向きな社会的インパクトを促進する役割を担います。CIDを立ち上げたことで、株式投資や革新的な金融ソリューションを通じたシティの事業の力を活用し、コミュニティの変化を一段と強力に推進していくための手段が拡充されました。シティ・ファウンデーションの戦略的な助成金による活動ともあわせて、シティがサービスを提供しているコミュニティが直面している複雑な課題に対して、CIDは新しい手法を用いて対処していくことを目指しています。