持続的発展のための戦略

低炭素化への移行: 5,000億ドルの環境ファイナンス目標を通じて、低炭素経済への変革を加速する

シティは、世界中の気候変動に対処するソリューションを発展させていくことに力を尽くしています。サステナブル・ファイナンスに長年取り組んできた実績を活かして、低炭素経済への移行を加速させるため、新たに2030年までの5,000億ドルに上る環境ファイナンス目標を設定しました。

シティの目標の基準は、達成済の1,000億ドルの環境ファイナンス目標から発展させたものです。新たに循環経済、持続可能な農業と土地利用に関する基準も追加し、EUのタクソノミーなど最新の枠組みの要素も取り入れています。目標基準を1件以上満たす取引は、該当する場合、当社のリーグテーブルの手法を利用して算入され、それ以外の場合はシティの直接貸付と見なされます。

シティは、引き続き、革新的なファイナンスの仕組みを開発し、こういった分野に限らずポジティブな影響を拡張できる機会を模索していきます。世界で最もグローバルな銀行として、当社は低炭素への移行を通じてあらゆるセクターのお客様を支援できる立場にあります。持続可能性の取り組みは、企業ごとに異なるステージにある一方で、気候変動の様々な課題に対処するためには、今すぐに経済のあらゆるセクターにおいて変革が必要であることを見据えています。

気候リスク: 自社ポートフォリオの環境リスクと影響を測定し、管理し、削減する. ポリシー策定、ポートフォリオ分析、ステークホルダーとの関わりを通じて、自社におけるTCFDを実行し、開示する

シティは、気候リスクの管理と、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言の実施に全力を尽くしています。環境・社会リスク管理(ESRM)ポリシーや、気候リスク分析における当社の経験をもとに、気候変動関連の移行リスクや物理的リスクに対するシティの融資ポートフォリオの耐性について分析をより進めていきます。また、当社ポートフォリオによる気候へのインパクトと、1.5度および2度の各気温上昇シナリオにおける当社ポートフォリオの分析についても調査を開始する予定です。この分析によって、シティとお客様が直面する気候リスクと、私たちが協調して低炭素経済に移行できる道筋について、理解を深めることができます。気候リスクに関する業界全体の分析・開示手法を開発するため、お客様や同業他社と協働できる機会を模索してまいります。

お客様に関連する気候リスクの分析と削減に対する当社の取り組みには、主に次の3つの分野の活動があります:

  • ポリシーの策定: シティのリスクポリシーやガバナンスの枠組みにおいて、気候リスクをより取り込んでいきます。ESRMポリシーと炭素集約型セクターに対するセクター基準は、漸進的かつ反復的に更新し、新たなベストプラクティスを取り入れていきます。
  • ポートフォリオの分析・測定: 当社ポートフォリオに気候シナリオ分析とストレステストを適用し、物理的気候リスクまたは移行リスクにおける、お客様ごとの影響(または耐性)を把握します。また、新たな手法の評価とテストを通じて、お客様の事業に関連する気候リスクの数値化、当社ポートフォリオに関連する排出量の試算、ポートフォリオの脱炭素化に向けた見通しの評価を実施します。
  • エンゲージメント: お客様の気候リスク管理や低炭素への移行戦略に、一緒に取り組みます。規制当局と、新たな気候リスク監視ガイドラインに関して、ともに取り組みます。また、複数のステークホルダーを交えた活動に積極的に参加し、気候リスクの分析や管理についての学びの共有や業界ベストプラクティスの確立に努めます。
持続可能な事業運営: 自社施設による環境負荷を低減し、サステナビリティの社内文化を強化する. 事業運営の環境負荷目標を通じてグローバルな当社事業の影響を最小化していく取り組みを継続し、持続可能な慣行の全社的な統合をさらに進める

シティは、世界中の自社施設における環境負荷の削減に継続的に取り組んでいます。世界97か国の約7,000カ所の施設で約200,000人の従業員が働いています。世界中で事業を行っているは、私たちが暮らし、働く地域社会に対して良い変化をもたらすチャンスでもあります。全世界の従業員の中でも、サステナビリティの優先順位は高まっており、その熱意をシティのサステナビリティの文化、従業員のエンゲージメント、全社的なサステナビリティへの取り組みへ変えて実現しています。

2001年以来、シティは自社業務が直接環境に及ぼす影響に関する測定、管理、削減を進めてきました。一元化された環境管理システムを通して環境への影響を追跡し、グローバルでのエネルギー利用、温室効果ガス排出、水利用、埋め立て廃棄物、グリーンビルディングの取り組みについて毎年報告しています。これらの取り組みは直接的な環境負荷の軽減、コストの削減、職場環境や生産性の向上につながっています。また、お客様が支援を必要とされる際には自社の経験を踏まえたご提案ができるようになっています。

現在掲げている2025年までの業務運営による環境負荷目標は、2007年に最初の温室効果ガスと水の削減目標を設定して以来の第4弾です。同目標は、最新の気候科学に合わせ、シティのスコープ1とスコープ2の温室効果ガス排出量削減目標の基準年が2005年から2010年に改定されています。この温室効果ガス排出量削減目標は、世界の気温上昇を摂氏2度未満に抑えるために必要な脱炭素の水準にあわせて策定されています。

日本において、シティはエネルギーと持続可能な建築の目標を達成しています。2023年11月現在、日本国内で当社賃貸オフィスにて消費するエネルギーの約87%は、100%再生可能エネルギー由来の電力で調達しています。大手町、新宿、沖縄にある当社のすべてのオフィスはLEEDの認証を受けており、よって、日本のオフィス床面積の99%が持続可能な建築に相当しています。

(*)LEED は、最高クラスのビルト・エンバイロメントを作るための戦略やそれらをどう実現させるかを評価するグリーンビルディングの認証プログラムです。